スタイリストにもなる前、まだ舞台やドラマの美術さんをやっていた頃、そういう業界なら誰もが一度は聞かされる、かの黒澤明映画監督の伝説的な話。

ある時、映画のロケハンに赴き、フレーム越しに「あの山が邪魔だな、笑っといて」という。業界用語で「笑う」とは「どかせる」という意味。実際に山をひとつ削ったらしいとか、その山が富士山だったとか、真偽はわからないですが。

けど、人間の所業として「山をひとつ削る」ことくらいが造園の限界じゃないでしょうか。まあ、ただの自然破壊ですけどね。笑


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もう20年くらい前に買った本、小学館の「世界遺産」。スタイリストでデビューした頃から、唯一の趣味は世界遺産を巡ること。ぼちぼち仕事して、資金が溜まったら仕事放り投げて旅に出る。アフリカや南米のピラミッドから、ヨーロッパの大聖堂、アジアの寺院。図鑑に出てくるような代表的なところはほぼ足を運んだと思う。そして、行った所の○印が増えていく目次を見て満足する。まあ最近は国内くらいしか行ってませんが。こんな仕事をしているとよく言われるのが、「緑や自然が好きなんですね〜」的なこと。気持ちもわからなくないが、べつにそういうことじゃない。世界遺産もそうだが、ぼくの範囲は「文化」遺産で、「自然」遺産にはまったくと言うくらい興味がない。太古からの人間の営みが好きで、それに慄き畏怖をする。大自然をデザインする神様の営みには「ま、そりゃそうだろうね」くらいの気持ちにしかならないのである。同じように庭や風景も人間の力を超えた「神様の範囲」は興味なし。というか、緑もデザインのパーツに過ぎず、そこの空間に必要ないなら無くてもいいです。#世界遺産#文化遺産#旅